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茨木 のり子 Archive
80:『倚りかからず』
- 2007-12-03 (Mon)
- 茨木 のり子
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今までは、言葉を楽しみたくて、詩を読んでいました。
詩人の思想を感じる事もまた、一つの楽しみでは、ありましたが。
ですから、この詩集を読み始め、『鄙ぶりの唄』へ差し掛かった時、強い違和感を感じたのです。
それは、美しい言葉を並べる事を優先した詩では無く、
思想を全面に出した、しかも、今正に議論されている思想問題、時事問題を、取り上げた詩だったのです。
現代抱える思想問題について、深く切り込んだ詩はその後も続き、
茨木のり子さんの考えが、強く強く押し出され、
わたしはそれに、ただ、怯えるだけでした。
こんなに強く表現して良いのだろうか、その強さが怖くて、怯えました。
様々な思想の問題に対して、正面から切り込み、真っ直ぐに自分の想いを表現できるのは、まさに、表現者の特権であると言えます。
音楽で表現する人、絵画で表現する人、そういった人々には、慣れていました。
しかし、それを、詩で表現する人は、初めてでした。
こんなにはっきりと、強烈に表現する人は、初めてでした。
そんな芯のしっかりした表現者は、お茶目な一面も見せ、『笑う能力』では、あまりにも共感できて可笑しくて、ついつい笑ってしまいました。
そして、それまで入っていた肩の力が、ふっと抜けるのでした。
怯える程強いのに好きなのは、こういったお茶目な面や、暖かく包み込む優しい面も同じくらい強いから。
だからこうして、次の言葉、次の詩を求めて読み進めてしまうのだと思います。
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29:『おんなのことば』
- 2006-07-18 (Tue)
- 茨木 のり子
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『おんなのことば』
茨木 のり子 著
童話屋
157ページ
■□■□■□
自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
■□■□■□
この詩を勧められたのが昨年の事。内容のストレートさ、厳しさに衝撃を受け、忘れられず今日に至る。
茨木のりこの詩集はいくつかあるが、『自分の感受性くらい』が載っているものが見つからず、漸く出会い、購入。近くの喫茶店で1時間もしないうちに読破。
すごい。
詩集を読む機会が殆ど無かった為、比べようが無いが、しかし、これは生涯手元に置くべき詩集だと思う。
『おんなのことば』というタイトル通り、作者の女性らしさが滲み出た作品ばかり。『自分の感受性くらい』のような、ドキリとさせられる厳しい詩もあれば、愛する夫・子供達を思いやる詩、自然を愛でる少女のような詩、日記のような日常の一コマもあり、読めば読むだけ世界が広がるようだ。
作品や、作者について、これといった解説が無いため、純粋に詩の世界に没頭できる。
お気に入りの詩をいくつか見つけて暗記したい。読むと元気が出て、暖かい気持ちになれる。
母の胎内の温もりを感じる一冊。
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