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カポーティ Archive
53:『夜の樹』
- 2006-11-01 (Wed)
- カポーティ
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村上春樹が影響を受けたと聞いて読んだ本。
一言で言うと、「不安」を感じる。
この短編集に入っている物語は、二つに分類できる。
狂気、孤独、闇、自分が分裂しそうな不安、内向的な世界。
そしてもう一方は、幸福で暖かく、無垢な子どもや女性が登場する世界。
こんなにも真逆の世界が入っている短編集も、そう、無いのではないか。
全体的に見ると、不安を掻き立てる内容が多いため、なかなか一気に読み進められなかったが、最後に入っている「感謝祭のお客」という話がとても暖かく、希望に満ちているので、救われる。
不気味さを味わうなら、「ミリアム」「夜の樹」「夢を売る女」「無頭の鷹」。
暖かさを味わうなら、「銀の壜」「感謝祭のお客」。
他2作品の「誕生日の子どもたち」は、くすっと笑みのこぼれる内容なのだが、最後が、ぶつっと無理矢理切れてしまっているようで、読み終わった後もやもやしてしまう。
「ぼくにだって言いぶんがある」は、どこかユーモアがあるのだけど、どこか不気味さが残る。
「感謝祭のお客」には、とても素敵なせりふも多い。
いじめっ子を懲らしめてやろうと、主人公がいじめっ子の罪を感謝祭のテーブルで暴露した後の、ミス・スックのせりふ。
「これだけは、いっておきたいの、バディ。まちがったことをふたつ重ねても正しいことにはならないわ。あの子がカメオを取ったのは確かに悪いことね。でも、あの子がどうしてそんなことをしたのかは私たちにはわからない。たぶんあの子は、そのまま持っているつもりはなかったと思うわ。理由がどうであれ、あの子は、計算してやったんじゃないのよ。あなたがしたことのほうがずっと悪いのは、そこなの。あなたは、あの子に恥をかかせてやろうと計画したでしょ。わざとそうしたでしょ。ね、聞いて、バディ。世のなかには、許されない罪がひとつだけあるの─わざとひどいことをすること。他のことはみんな許される。でも、これだけはだめ。わかる、バディ?」
こんなことを言える大人は、そう、いない。
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