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200805

87:『絵描きの植田さん』

絵描きの植田さん (新潮文庫 い 76-6)絵描きの植田さん (新潮文庫 い 76-6)
(2007/11)
いしい しんじ

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少し、不満足。


雪は止んでいた。周囲は窓越しに見るよりはるかに白かった。吐息も手でつかめそうに真っ白い。


目の前に冬の眩しさが広る。
真っ白なだけで、音が聞こえない、晴れた冬の山の中。

後半突然現れる、十数枚連続の「本当の」植田真さんの挿絵。
閉ざされた耳に音が雪崩れ込んでくるような感覚を覚える。
足下ばかり見て進んだ山道の先が一気に開け、樹氷の窪地が広がった場面に通じる。

そこでお話を終えても良いのになあと、思った。
その後の大団円は書かなくても、十分に想像できるし、
ああこの後きっとメリは・・・、植田さんは・・・といろいろ考えを巡らせる方がわたしは好きだ。

86:『パンドラの匣 』

パンドラの匣 (新潮文庫)パンドラの匣 (新潮文庫)
(1973/10)
太宰 治

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パンドラの箱から最後に出てきた「希望」を「明日へ導く光」と捉えている作品。

『パンドラの箱から最後に出てきたのが希望だとは皮肉なものだ。
希望を持つから裏切られたと感じてしまうのだ』
と、言ったのはかつての恋人か、はたまたどこかの本で読んだのか。
今まで太宰作品と言えば、パンドラの箱から出てきた希望をそのように捉えたものというイメージがあった。
それを気持ちよく裏切る青春小説。

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