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200808

92:『イン・ザ・プール』

イン・ザ・プール (文春文庫)イン・ザ・プール (文春文庫)
(2006/03/10)
奥田 英朗

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内容(「BOOK」データベースより)
「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。



何かに依存しなければ自信を保てない出版社のサラリーマン、怒りを飲み込み発散できない気弱な男性、被害妄想の強いコンパニオン、携帯電話依存症の男子高校生、強迫神経症のルポライター。
伊良部総合病院の神経科を訪れる患者達は皆、いわゆる「現代病」を煩っている。

神経科の医師である伊良部は、彼らを治療する事はない。
神妙な面持ちでカウンセリングをするわけではない。
むしろその逆で、本当に医者なのかと疑いたくなるような予想外の行動を取り、時に患者をも唖然とさせる。
治療しようという意志があるのかすら分からない。
おかしな医者・伊良部の行動により、どの患者もその症状は一度最悪の状況まで落ち込む。
しかしその最悪な状況を脱すると、谷底を力強く蹴りジャンプするかのように、一気に回復へ向かう。
そして皆、自分の抱える本当の原因に正面から立ち向かえるようになる。

患者達が抱える病の原因は、人によっては些細な事でしかない。
偶然その原因が、抱えきれない不安の種になってしまった、という事に過ぎない。

そんな彼らに伊良部は病名をつけない。
私はそこが、一番好きだ。
患者を病人にし、薬を処方する事だけが、治療では無い。
遠回りでも、その人が自分から答えを見つけられるように後押しする。
それが、伊良部のやり方だ。
そう思った。

91:『チルドレン』

チルドレン (講談社文庫 (い111-1))チルドレン (講談社文庫 (い111-1))
(2007/05/15)
伊坂 幸太郎

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読み終えてしばらく経っても心が躍ったままでいる。
「嬉しい」という気持ちが体中にあふれている。
痛快な読了感。

わくわくするどんでん返しでいっぱいの本だ。
陣内という男性を中心に繰り広げられる、ちょっと信じがたい奇跡の連続。
冷静に考えれば、「そんなに上手く行く訳ないよ」と思うような事も、この本の世界に入ればすんなりと信じられる。
一つの短編を読み終える毎に、ああ良かったなと、また一つ大きな息を吐く。笑顔とともに。

ある人を中心に、直接は関わりのない人物が時間を超えてリンクする、という作りも、本当に好き。
大好きな要素がいっぱいの本だ。

90:『西の魔女が死んだ 』

西の魔女が死んだ (新潮文庫)西の魔女が死んだ (新潮文庫)
(2001/07)
梨木 香歩

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中学に進んでまもなく不登校になった”まい”は母方のおばあちゃんの家で一ヶ月あまり過ごすことになった。
ある夜おばあちゃんから明かされた、受け継がれる魔女の素質。
翌日からまいは、おばあちゃんの元で魔女修行を受ける事になる。
魔女になるには基礎トレーニングが必要だった。それは「早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする」こと。そして「自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力」が一番大切だと教わる。それはとても簡単なようで、いちばん難しいことだった。

ある晩、まいはおばあちゃんに「死」について聞く。
ずっと前に父親から「死んだらそれまで」と聞かされて以来、それはまいに大きな不安を与える、辛い疑問だったのだ。
そんなまいにおばあちゃんは「死ぬ、ということはずっと身体に縛られていた魂が、身体から離れて自由になることだ」と教える。そして「おばあちゃんが死んだら、まいを怖がらせない方法を選んで、本当に魂が身体から離れましたよって知らせてあげます」と約束する。


「魔女」になるための修行に必要なのは、自分で決めた事をやり遂げること、心から聞きたいと思った声以外には振り回されないこと、そして、直感に取り付かれないこと。

直感についておばあちゃんはこのように言っている。
「直感は直感として、心のどこかにしまっておきなさい。そのうち、それが真実であるかどうか分かるときがくるでしょう。そして、そういう経験を幾度となくするうちに、本当の直感を受けたときの感じを体得するでしょう」


「魔女修行」なんて言葉を使っているから何か特別な修行を想像するが、それは体力を付けるのと同じように意志を鍛える日々の暮らし方の事だった。

まだ私がずっと若かった頃、沢山の悩みや行き場のない苦しみを抱えもがいていた。
きっとまいもそうだったのだろう。そしてそれを解決したのはおばあちゃんの愛情と、自然たっぷりの生活と、そして規則正しい生活だった。私もまたこうして今元気にいられるのは、そういった生活と、多くの人々の愛情と、自分の意志を貫けたという自信のおかげかも知れない。

この本は、私にさらに明るい道筋を示してくれた。
直感を信じる。しかしそれにとらわれない。自分で決める、そしてそれをやり遂げる。
まいのおばあちゃんの言う「この世にうようよしている悪魔」に負けないためにも、自分を信じて地面を踏みしめ進みたいと思った。

89:『ふしぎな夢』

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