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63:『新編銀河鉄道の夜』

新編銀河鉄道の夜 新編銀河鉄道の夜
宮沢 賢治 (1989/06)
新潮社

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*・*・*・*・*・*・*
感想に入る前に。

後から続く感想文を書いた後(メモ帳に書いているのです)、アマゾンで、この本の詳細ページを見ていた。

「この商品を買った人はこんな商品も買っています」
というオレンジの文字の下には、こんな本が並んでいた。

タイタンの妖女 カート・ヴォネガット・ジュニア
晩年 太宰 治
フラニーとゾーイー サリンジャー
注文の多い料理店 宮沢 賢治
新編宮沢賢治詩集 宮沢 賢治


思わず声を上げてしまった。
「タイタンの妖女」は、明日から読もうと、
もう、ブックカバーを付け、バッグへ入れたところだ。
「晩年」は、高校生の頃にかじってみて、
実はまだ、じっくり味わいきれていない作品。
だけど、何故か心の隅っこに引っ掛かっている。
「フラニーとゾーイー」は、愛する「グラース・サーガ」の中の一つ。
「注文の多い料理店」は、小学生の頃からの愛読書。

そうだ。この中で持っていないのは「新編宮沢賢治詩集」だけだ。
欲しい。
どうして持っていないのだろう。
気に入るって言う、自信がある。
ああ、欲しい。
*・*・*・*・*・*・*

『新編銀河鉄道の夜』
双子の星
よだかの星
カイロ団長
黄いろのトマト
ひのきとひなげし
シグナルとシグナレス
マリヴロンと少女
オツベルと象
猫の事務所
北守将軍と三人兄弟の医者
銀河鉄道の夜
セロ弾きのゴーシュ
飢餓陣営
ビジテリアン大祭
・・・以上14編からなる短編集。

わたしは、宮沢賢治作品を読む時には、
とくにその、言葉の響きとリズムを「観て」味わう。
賢治作品に登場する主人公達は、現実の世界では観たことのない者も少なくないため、彼等の性質や、言動にいちいち理解を求めては、折角の世界が崩れてしまうのだ。
それよりも、見上げた空から広がる、宮沢賢治の宇宙観を、
その、独特な言葉と共に、「ただ、感じる」方が、
よっぽど面白い。

以下、好きな表現の、ほんのひとつまみ。

「お日様がカツカツカツと厳かにお身体をゆすぶって、東から昇っておいでになった時、チュンセ童子は銀笛を下に置いてポウセ童子に申しました。」(「双子の星」より)
「夜だかが思い切って飛ぶときは、そらがまるで二つに切れたように思われます。一疋の甲虫が、夜だかの咽喉にはいって、ひどくもがきました。よだかはそれを呑みこみましたが、その時何ぜだかせなかがぞっとしたように思いました。」(『よだかの星』より)



わたしはこうして、時々、宮沢賢治による自然への優しい眼差しを感じ、
改めて、吹き抜ける風だの、浮かぶ雲だの、照らす星だのを見つめる事が好きだ。
何度読んでも、彼の言葉は、
わたしに新しい視覚や嗅覚や触覚や聴覚(味覚もあるかも知れない)を与えてくれる。
それは、とても幸せな事なのだと思う。


宮沢賢治の作品は、その殆どに「生と死」が係わっている。
そして、それに対する賢治の考えは、ある程度一貫しているように思う。
その考え方が、『銀河鉄道の夜』では、このように書かれている。

「僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」



恥ずかしながら、わたしは、
みんなの幸いのために自分のからだを灼く事を拒むだろう。

しかしながら、
小学生の頃、この台詞に出会ってから今までずっと、
燃えるさそりの星の話を読むたびに、
ぼうっとした、ほろ酔いのような恍惚感を覚えるのだ。
もしかすると、その言葉への、
強い憧れが、そうさせているのかも知れない。

Comments:4

volty7 URL 2007-03-20 (火) 01:29

この本、昨日、有隣堂で買った。奇遇だね。

haru URL 2007-03-20 (火) 02:15

★volty7さん

おお・・・!!
奇遇だね☆

とても素敵な世界だから、
是非、ゆっくり味わって来てね(・ω・)/

大≧将 URL 2007-04-20 (金) 19:00

「新編」は俺が読んだのと同じなんだろうか?いや、それこそが「新編」だったのかな?

鬼才、宮沢賢治の珠玉の短編集。彼の頭の中の、壮大な空想世界と牧歌的楽園。それらと常に共にありながら、鮮やかなコントラストを描く研ぎ澄まされた寂寥感。そんなものが、それはそれは見事に描かれている。

賢治の世界はどんなジャンルに属するかというと、やっぱり「賢治の世界」だと思う。似たような世界を書く作家はいるけれど、そこにはこの何とも形容しがたい「寂しさ」が無い。唯一無二なのだ。読後に残る、寂しいような柔らかいような、切ないようなうきうきするような独特の感じは賢治の作品でしか味わえない。

…って、まぁ、銀河鉄道じゃなく賢治の感想だなぁ。

銀河鉄道の一番の思い出は、小学校の時に夏休みの読書感想文用に読んでたこと。その時うちに遊びにきた宮城の従姉妹(いっこ上。美人)が「あ、私もそれ読んだよ」って言ったことに何故か凄くドキドキした。

…って、まぁ、やっぱり銀河鉄道の感想じゃないなぁ…。

うーん、別にいいか。

ちなみに、岩手に旅行に行った時に買った「銀河鉄道の夜しおり」は今でも愛用しています。

そして、銀河鉄道の夜のアニメ化したのでも有名なますむらひろし。彼がマンガ化した風の又三郎とかも出版されてるのでおすすめですね。

haru URL 2007-05-01 (火) 00:23

★大将さん

アニメの「銀河鉄道の夜」は傑作ですね。
大好きで、今でも良く見ます。
小さい頃に良く見ていたので、本で読んでも、ジョパンニやカンパネルラが猫として登場してしまうくらいです。また、何度も見たせいで、日常の様々な場面が映画の場面に重なり、何とも言えない不思議な感覚を味わう事も多いのです。言葉では説明しきれないけれど、わたしの頭の中にある様々な感覚は、アニメ「銀河鉄道の夜」に影響されていると言えます。

アニメになった宮沢賢治作品では、「風の又三郎」、「セロ弾きのゴーシュ」なども見ました。どれもとても良い作品でした。特に「セロ弾きのゴーシュ」は、本の世界がそのままアニメになっているのでお勧めです。

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